
【私のMicocochi】月経に関わる女性ホルモン②【プロゲステロン(黄体ホルモン)】の効果
こんにちは、内山友里です。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
これまでのコラムでは、月経には【卵胞ホルモン(以下、エストロゲン)】と【黄体ホルモン(以下、プロゲステロン)】という二つの女性ホルモンが強く関与していることを示してきました。
そして前回、二つの女性ホルモンのうち、「女性らしさをつくるホルモン」とされるエストロゲンの働きと、その分泌量の増減によって生じる身体的な症状をご紹介しました。
今回は、前回ご紹介できなかったもう一つの女性ホルモンである、プロゲステロンについてご紹介します。
ぜひ、エストロゲンの働きと比較しながら読みすすめてください。
妊娠をたすけるホルモン:プロゲステロン
プロゲステロンは、一般的に「妊娠をたすけるホルモン」として知られています。
女性らしさをつくるエストロゲンと比較すると、月経周期の中でというよりは、妊娠中の働きが主であることに起因しているのでしょう。
今回は月経との関係について知っていただくことが目的ですので、両ホルモンが妊娠中にどう働くかについては、また今度お話ししたいと思います。
プロゲステロンの働き
プロゲステロンには、排卵後の女性の身体(特に子宮内)を、妊娠しやすいようにととのえる働きがあります。
妊娠が成立したときは、出産までの間、妊娠を維持させるという大役を担うことになります。
それでは、妊娠をたすけるために、プロゲステロンが具体的にどのような働きをしているのか、見ていきましょう。
- 基礎体温を上げることで、受精や着床がしやすい環境にととのえる。
- 子宮内膜及び子宮内膜周辺の血流量を上げて栄養を行き渡らせることで、エストロゲンによって厚みが増した子宮内膜の状態を維持し、着床にそなえる。
- 着床後は乳腺の発達を促し、出産後の授乳にそなえる。
- 呼吸を促進する。
- 骨細胞を増やす。
- 抗エストロゲン作用により、乳がんを抑制する。【NEW】
以上が、プロゲステロンの主な働きと言えます。
そしてこれらの働きは、月経周期における女性の様々な身体的・心理的症状に関与しています。
たとえば、みなさんは【高温期】という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
排卵の際、卵子が卵胞ないし卵巣から飛び出していくため、卵巣内には空の卵胞が残されます。
この残された卵胞は黄体に変化し、約14日間に及んで、プロゲステロンを分泌します。
プロゲステロンには体温を上昇させる働きがあるため、女性の基礎体温は、黄体期に入ると0.3~0.6度ほど高くなると言われています(低温期の体温と比較した場合)。
このように、黄体期に基礎体温が高くなる(=高温期になる)理由の一つには、上述したプロゲステロンの作用があげられます。
他方で、プロゲステロンは最もバランスを崩しやすいホルモンとも言われています。
たとえば、月経前に生じるとされるイライラや腹痛、頭痛などの心理的・身体的症状は、プロゲステロンの分泌が関与しているという指摘もあります。
周期におけるプロゲステロン分泌量の変化
妊娠のためのホルモンとされるプロゲステロンは、排卵直後から分泌量を増やし、妊娠の準備をします。
しかし、妊娠が成立しなければ、プロゲステロンを分泌する黄体は白体に変化するため、排卵の約1週間後から分泌量が減り始めます。
その後はまた、月経の周期に合わせて増減を繰り返すのです。
一方、妊娠が成立した場合には、プロゲステロンが分泌され続けるため、高温期もつづくことになります。
よく聞く、「高温期の長期化が妊娠の兆候を意味する」という話しは、プロゲステロン分泌量に基づく判断基準というわけです。
まとめ:プロゲステロンの影響
本記事では、月経にかかわる二つの女性ホルモンのうち、妊娠をたすけるホルモン、プロゲステロンについてご紹介しました。
プロゲステロンとエストロゲンの二つの女性ホルモンは、どちらも卵巣から分泌され、安定した周期で月経を引き起こす働きをしています。
具体的には、卵胞から分泌されるエストロゲンが月経周期の前半サイクルを、黄体から分泌されるプロゲステロンが、月経周期の後半サイクルを安定させています。
それがもし、何らかの事情でホルモン分泌量が乱れれば、高温期の維持、さらには安定した月経周期の維持にまで悪影響を及ぼすことになると考えられます。
では、ホルモン分泌量はなぜ乱れるのでしょうか。
次回はいよいよ、これらの女性ホルモンの分泌量を決定・命令している、司令塔についてご紹介します。
この司令塔が誤った命令を下す理由が、月経にともなう諸症状を軽減させる鍵となり得るのです。