女性のこころと身体への理解

女性のこころと身体への理解

女性の特質とも言える月経に関する問題は、日常生活だけでなく、就職・結婚・出産などのライフコースの選択にも大きく関与しています。

それにもかかわらず、この問題は社会的にあまり重要視されていない傾向にあります。


こちらのコーナーでは、上述の社会傾向に、心理学者のママさんライターである筆者がバッサリとメスを入れ、月経に伴う心や身体、さらには社会的問題についてご紹介します。

まずはその前に、大変遅ればせながら筆者のご紹介をさせていただきます。


執筆者のご紹介


はじめまして。こちらのコーナーの執筆を担当することになりました、ライターの内山友里です。

現在、夫と2歳の娘ちゃん、猫様との3人と1匹で、郊外にてゆるゆると生活しております♪


そんな筆者も、実は結婚前までは、心理学の専門職として大学や某省庁等の機関でバリバリと働いておりました。

これが本当にバリバリで、やるならとことん追求する性格のため、研究以外のことはすべてお座成りな生活を送っていました。

しかし、ひょんなことからスピード婚が決まり、子どもを授かることも視野に入れていたことから、誰に相談することもなく研究職をすんなりと辞め、家から徒歩2分の一般企業に転職することになります。


筆者の直面した、月経に関する仕事上の問題

家に仕事を持ち帰らず、移動時間も最短なので、結婚・出産・育児に向いているだろうという安直な考えで転職をした筆者。

この決断が、のちに筆者を女性ならではの問題に直面させることになります。


もっとも使われない制度? 生理休暇

生理休暇とは、生理による症状がつらくて就業が難しい女性のための休暇です。

この休暇は、企業規則に掲載がなくとも使用する権利のある、労働基準法で定められた法定休暇にあたります(賃金についての取り決めはないため、有給とするか無給とするかの判断は企業に委ねられています)。
一体どれだけの人が使っているかというと、2015年で1%未満、2020年でも3%にとどまっています。
あなたは、自分が生理休暇を使いたい場合、上司に切り出すことができますか? 

また、本当に生理による体調不良でも、正直にそれを伝えて休んだことがありますか? 


生理休暇を使えるのは恵まれた環境だけ

筆者の場合、転職前はとても恵まれた環境に居たようです。

というのも、省庁では休暇の取得やフレックスの導入などが率先して実施されるため、こちらから相談せずとも、担当部署から「傷病休暇にします」「労災使えますよ」「今年あと〇日有給使えます、無給休暇は〇日あります」といった連絡が来ました。

また、顔色が悪ければ、同僚に「医務室で寝ておいでよ。明日は生理休暇使えば?」と声をかけられるのが当たり前でした。

元気で効率よく仕事をして、体調が悪ければ早めに休みましょうという共通の意識があったのです。


生理休暇を使うべきではないのではなく、知らないが正解

転職すると状況は一変しました。

生理で体調が悪くとも、痛み止めなどの薬を飲んで働くことが当たり前で、生理休暇どころか、生理が理由であれば有給すら使いにくい空気でした。

一度上司に、「生理休暇って使われる人いますか?」と質問したところ、返ってきたのは「うちにもあるのかなぁ?」という、想像の斜め上を行く回答でした。

同僚に聞いてみるも「そんな休暇あるの!?」という驚きの反応。

【生理休暇を使うべきではない】という認識どころか、【認識すらされていない】という事実が判明しました。では、なぜこれほどまでに生理休暇は認識されていないのでしょうか。


問題という意識の欠如

月経に付随する心や身体の異常について、あまり重要視しないという社会傾向の影響なのか、当事者であるわたしたち女性自身ですら、それを問題と認識せず、自然と“我慢”という行動を選択することが多いと思われます。

そして、その選択が当たり前という認識が浸透しています。

この“我慢”という選択は、本当に“当たり前”なのでしょうか? 

もしかしたら、我慢強い日本の女性だからこそ選び続けてしまった、最良とは言えない選択ではないでしょうか?

そこで、次回からは、月経に付随する心や身体の問題、それを緩和する手法などについてご紹介します。

まずは、わたしたち女性自身が、月経に伴う問題についての理解を深めることで、それが知られていないからこそ発生し得る問題を、解決へと導くことができますように。

内山友里
内山友里
心理学者のママさんライター。大学での学術研究や文部科学省での勤務経験を活かし、育児・教育を中心に、美容・税金・ライフハックなど、様々なジャンルのライティングで活躍中。